DAVID BOWIE / HUNG UP ON ROMANCING 【2CD】

DAVID BOWIE / HUNG UP ON ROMANCING 【2CD】

販売価格: 4,500yen(税込)

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商品詳細

ボウイの時代をいくつかに分割して論じることは可能であるが、最初期に続いて、「Space Oddity」からジギー時代までを大雑把に「初期」と位置付ける事に異論はないであろう。本作は、その初期のスタジオ・アウトテイクや別バージョンを収録したタイトルになる。アルバムで言えば「Space Oddity」、「The Man Who Sold The World」「Hunky Dory」「Ziggy Stardust」の4枚のアルバムがリリースされた時期に重なる。いずれも現在聴くことの出来るものとは異なるもので、非常に興味深い内容となっている。

【DISC ONE】
01. The Wild Eyed Boy From Freecloud
アルバム『Space Oddity』収録の同曲の、1969年6月20日にリリースされたシングル・バージョンである。アコギのカッティングから始まり、ボウイのヴォーカルが前面に出たミックスとなっている。弦楽器が入ってはいるものの、あくまでメインはボウイのアコギの引き語りスタイルとなっている。仰々しいオリジナル・バージョンと聞き比べて頂きたい。

02. Columbine
03. The Mirror
04. Threepenny Pierrot
1970年初頭に出演したテレビ・ショウ「Looking Glass Murders」という番組のためのデモ音源である。出演した演奏そのものではなく、出演のためのデモ音源というのが珍しい。いずれもボウイのアコギ・スタイルによる弾き語りで2曲が収録されている。いずれもディランに影響を受けたような、物静かな曲である。声色を変えたり、ハミングを使用したりと、ボウイ自身、まだ自らのスタイルを模索しているかのような音源である。最後の「Threepenny Pierrot」だけは軽快なピアノによる弾き語りである。メロディは明らかに後年の「London Bye Ta-Ta」であり、歌詞も大幅に異なり、曲構成も未完成ながら、この曲の原曲である事は疑いようがない。

05. Prettiest Star
06. Conversation Piece
1970年1月にリリースされた45シングル・バージョンである。「Prettiest Star」は抑制した優しい歌いまわしで歌っている。ここでもボウイのヴォーカルを前面に出し、バックを控えめにしたミックスがなされている。「Conversation Piece」は「Prettiest Star」のB面に収録されていた非常に美しいメロディを持つ牧歌的な曲である。

07. Lightning Frightning
08. London Bye Ta Ta
THE HYPEとはボウイが1970年に結成したバンドである。この2トラックは1970年1月に行なわれた、そのHYPEとのセッション音源である。このHYPEのギタリストであるミック・ロンソンやトニー・ヴィスコンティとの邂逅がその後のボウイのサウンドを決定づける事になる意味でも歴史的音源であろう。「Lightning Frightning」はあえて単調で抑揚のない歌いまわしで、バックにはギター、ピアノのみならず、印象的なサックスまで加えられており、初期の楽曲の中では異彩を放っている。そして先の「Threepenny Pierrot」が発展して「London Bye Ta Ta」と帰結する。煌びやかなギター、連打するピアノ、重層なコーラス・ワーク、これぞグラム・ロックの典型という仕上がりとなっている。あのピアノの簡素な楽曲がこのように昇華されるとは驚きである。

09. Memory Of A Free Festival Part 1
10. Memory Of A Free Festival Part 2
1970年6月にリリースされた45シングルの両面を収録している。「Space Oddity」の最後を飾る壮大な曲であるが、ボウイ自身、どのように完成させるか逡巡していたのだろう。ちょうどビートルズの「ストロベリーフィールズ」のように、いずれのバージョンも捨てがたく、様々なバージョンをこのようにリリースすることにしたのではないか。Part1はイントロこそアルバム・バージョンに近いながらも、すぐにギターが前面に出てき、テンポを刻むドラムに合わせてボウイが軽めに歌っている。曲のブレイク部分ではキーボードが派手に割り込んできて、曲の前半で早々に盛り上がる構成となっている。Part2はエンディング・コーダのSun Machine is Coming down・・・の部分から始まり、この部分のみをひたすら発展させたものとなっている。この事実から、この曲は2つの楽曲を繋いで完成されたものであるということがわかる。

11. A Song For Marc
タイトルこそ異なるものの、明らかに「Lady Stardust」の原曲である。これは1970年5月に録音されたほんの初期のバージョンである。ピアノのみのシンプルな演奏でありながら、ヴォーカルが重ねられており、かなり本格的な録音であることがわかる。初期バージョンということだが、曲構成や歌詞自体はほとんどこの時点で完成されている。

12. All The Madmen
アルバム『The Man Who Sold The World』に収録の同曲のアウトテイクである。1970年6月に収録されたアセテートからの音源となっている。オリジナルのようなドタバタ感がなく、クリーンな印象を受ける。シングル・ヴォーカルであることも、その印象を補完している。

13. Holy Holy
14. I Tired Of My Life
「Holy Holy」は1970年6月にレコーディングされた45シングル・バージョンのアセテート音源である。そして「I Tired Of My Life」は1970年5月にレコーディングされたデモ音源である。このメロディはまごうことなき「It’s No Game」である。『スケアリー・モンスターズ』がリリースされたのが1980年なので、実にその10年前に既に基本となる楽曲が出来ていたことになる。リリース・バージョンにあるようなアップ・テンポの勢いは潜め、ゆったりとしたアレンジとなっている。

15. Right On Mother
16. Andy Wahol
17. Rupert The Riley
18 . How Lucky You Are
19. Man In The Middle
20. Bombers
「Right On Mother」は1971年の前期にレコーディングされた、ピアノの弾き語りによる小曲である。途中クラッピングと裏声とハミングが挿入され、非常にボウイらしさが発揮された、「陽のボウイ」が堪能できる名曲である。「Andy Wahol」は1971年3月にレコーディングされたアウトテイクのアセテート音源である。残念ながらイントロだけであるが、リリース・バージョンでは聴くことが出来ない部分まで長く収録されている貴重なものである。「Rupert The Riley」は1971年4月23日にレコーディングされている。ノリの良い曲であるが、モーターの効果音などもダビングされ、ある程度作り込まれたものであるが、依然として未完成な感は否めない。アニメ熊のルパートとの関連は不明である。「How Lucky You Are」は1971年5月にレコーディングされた、今度は「陰のボウイ」が堪能できる曲である。ピアノが刻むリズムに合わせてボウイが静かに歌い出し、その後徐々に盛り上がり、その頂点で再び静かなピアノに戻る、それを繰り返す典型的な曲構成を持つボウイならではの曲である。「Man In The Middle」は1971年6月17日にレコーディングされた。メイン・ヴォーカルはボウイ以外のバンド・メンバーが担っている。「Bombers」は1971年6月にれこーディングされた『Hunky Dory』のアウトテイクである。ほとんど完成形に近く、リリースされたバージョンと大きな相違はない。

【DISC TWO】
01. The Superman
1971年6月レコーディングの別バージョンである。ヴォーカルが別バージョンであり、アレンジもいくぶんすっきりとしたものとなっている。

02. Quicksand
03. Amsterdam
04. Bombers
05. Kooks
06. Changes
上記5曲は1971年の春にレコーディングされた『Hunky Dory』のデモ音源である。楽器は最低限にとどめ、耳元で鳴るボウイのヴォーカルがメインの、いかにもデモ音源である。時折ヴォーカルがダブルトラックになる箇所もあり、おそらくバンド・メンバーに指示するためのデモではないかと思われる。特にボウイの代表曲のひとつである「Changes」のデモ音源は貴重であろう。この後、生涯に渡って繰り返し歌っていくボウイのテーマ曲の、ピアノのみによる最初期バージョンである。イントロではハァ〜ハァ〜と呼吸音を効果音をつけているのも面白い。

07. Shadowman
08. Looking For A Friend
09. Holy Holy
10. Round And Round
11. Velvet Goldmine
12. Ziggy Stardust
13. Sweet Head
アコギがメインの『Space Oddity』、ギターサウンドがメインの『The Man Who Sold The World』、ピアノがメインの『Hunky Dory』、それぞれ雰囲気が異なるアルバムをリリースしてきたボウイが、ビッグ・ネームとして認知されたのは、やはり『ジギースターダスト』からではないだろうか。上記5トラックは、1971年9月、『ジギースターダスト』を共に制作するSPIDERS FROM MARSとのセッションでレコーディングされたものである。かつてのアルバム以上にギターを中心としたバンド・サウンドを意識した音作りとなっている。最後の「Ziggy Stardust」のみ、ボウイひとりのアコギによるデモ音源となっている。また「Sweet Head」はSPIDERS FROM MARSとのセッションだが、この音源のみ1971年11月のレコーディングである。

14. All The Young Dudes
邦題「すべての若き野郎ども」1972年のデモ音源である。元々ボウイがモット・ザ・フープルに提供した楽曲だが、その後ボウイもステージで演奏するなど、代表曲のひとつとなっている。そしてこの曲はボウイの代表曲であるだけでなく、グラム・ロックへの賛歌として、ロックのスタンダードとなっている名曲中の名曲である。このトラックはデモ音源でありながら、その切ないメロディの美しさは隠しようがなく、シンプルなこの段階から既に歴史に残る名曲の雰囲気を備えている。

15. White Light White Heat
1972年3月16日に行なわれたスタジオ・リハーサル音源である。この日の翌々日にバーミンガムでのコンサートを控えており、そのためのリハだと思われる。ツアーも進んでいる中でのリハ―サルなだけに、演奏は充実そのもので、厚みのあるギター音が炸裂する中、本番ステージさながらの熱演である。

16. Zion
17. All The Young Dudes (7" acetate)
さて最後は、1972年10月にレコーディングされた『Aladdin Sane』のアウトテイクである。「Zion」はイントロやブレイクのピアノのメロディが「Aladdin Sane」に流用されている。ところが途中から雰囲気をがらりと変え、激しいギターが割り込んでくる。歌詞がまだ全くできていないのだろう、ボウイはただラ〜ラ〜ララ〜と当てているのみである。この部分は「Watch That Man」のベースになったと聞こえなくもないが、どうだろう。そして最後が再び「すべての若き野郎ども」である。既にモット・ザ・フープルに完成形として提供した後のセルフ・カバーなだけに、かなり作り込まれたバージョンである。

【HUNG UP ON ROMANCING】
1969年から1972年までの、いわゆる初期に相当するボウイのスタジオ・セッション音源を収録したのが本作である。まだ初々しさが残る反面、成熟さも垣間見れる青年期における、ジギー前夜のボウイの姿が克明に刻まれている音源集である。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。